●登場人物
・ヒカルド艦長…USSエソタープライズ艦長、地球人。冷静かつ博学な指揮官
・ラタコー…USSエソタープライズ副長、地球人。少し女癖が悪いとの噂有
・メータ…USSエソタープライズ主任パイロット、アンドロイド。有能だが空気を読めないのが悩み
・モーフ…USSエソタープライズ保安主任、クリソゴソ人。勇敢な戦士
・ドーグ…地球侵略を試みる有機体と機械のハイブリット生命体。個別の意志をもたず集合意識をもって行動する。また異種族を瞬時に同化する。
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ピ~ヒャ~ピ~ヒャ~、パッパパ~パ~パパパパ~パパ~♪
Tunnels, the final frontier. These are the voyages of the star ship ESOterprise...
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(USSエソタープライズ1701∃のブリッジ)
「艦長ヒカルド、航星日誌、宇宙歴●●●●●。地球侵略を試みるドーグの宇宙母艦を撃破。しかし母艦から救命艇が一隻脱出するのを発見、大至急追跡する。救命艇から出された時空連続波をキャッチ。分析の結果、彼らがタイムワープ試みていることが判明した。彼らを追跡すべく、続けてタイムワープを試みる。奴らの狙いは何なのだろう」
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ドーグ船を追跡するエソタープライズを激しい衝撃波が襲う。ヒカルドは操舵手のメータに問いかけた。「現在の状況は?」
「一時的に衝撃波に捕らえられたようです。進路を変更しますか?」
「いや、進路はそのままに。非常警報発令」
指令を下しスクリーンを見つめるヒカルド。エソタープライズの前方を航行するドーグ船の姿が衝撃波に飲まれて消えた。一足先にタイムトラベルに入ったようだ。すると、その瞬間、スクリーンに映る地球は赤茶色の大地に包まれた醜い姿に変わった。
「メータっ、何が起こった?地上をスキャンしろ」
「大気圏には高濃度のメタン、一酸化炭素、フッ素が存在しています」
「生命反応は?」
「人口はおよど90億です。しかし、、、全員ドーグです」
メータの答えにブリッジのクルー全員は凍り付いた。
ドーグが過去の地球にタイムトラベルし、地球を同化・改造したことは明らかだった。彼らがタイムトラベルを試んだのはこのためだったのだ。なんとしても彼らの野望を阻止し地球を元の姿にもどさなければならない。数秒後、エソタープライズも時刻測定粒子の渦に吸い込まれた…
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「タイムトラベル完了しました。ドーグ船と同じ時空に到達したと思われます」
メータの報告にヒカルドは問い返した。
「現在の正確な日付と時刻は?」
「西暦2012年12月●日午前●時●分です」
宇宙艦隊きっての歴史通として知られるヒカルドだが、三百数十年前のこの年号にはまったく心当たりがなかった。
「メータ、大至急この時代の歴史データベースに残されている記録をダウンロードししてくれ」
「艦長、了解しました」
続いて通信士官からの報告が入る。「艦長、ドーグ船内部での通信をキャッチしました。どうも彼らはノダーという人物を探しているようです」
ノダー、これもヒカルドには全く心当たりのない名前だった。
「メータ、データベースからノダーという人物とそれに関連する資料を至急集めてくれ。完了次第、地上に転送降下して調査するぞ」
「了解」
ノダーとは何者だ?ドーグはノダーに接触して何をしようと企んでいるのだ… 緊張しなければならない場面だが、ヒカルドの脳裏にふと、学生時代の恩師ダレン教授の姿が浮かんだ。学者の道を進み書物に埋もれる道を嫌い、宇宙艦隊に志願することを教授に報告した時の言い訳を思い出したのだ。「書物のみからは真実は解りません。私はフィールドワークに人生を捧げたいのです」 以来、教授とは疎遠になってしまったが、おかげで生の歴史を見る機会ができた。先生も許してくれるだろう…
物思いにふけるヒカルドにメータの声が響いた。
「ノダーに関連するデータの収集が完了しました。この時代のググるというやつですね。そして、現時点でもっとも彼に関連深いと思われる地点の座標を転送機に登録しました」
「よし、行くぞ。ラタコー、メータ、モーフついてきてくれ」
「了解」
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(第2話に続く)
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新スタートンネレック 第1話
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