●登場人物
・ヒカルド艦長…USSエソタープライズ艦長、地球人。冷静かつ博学な指揮官
・ラタコー…USSエソタープライズ副長、地球人。少し女癖が悪いとの噂有
・メータ…USSエソタープライズ主任パイロット、アンドロイド。有能だが空気を読めないのが悩み
・モーフ…USSエソタープライズ保安主任、クリソゴソ人。勇敢な戦士
・ドーグ…地球侵略を試みる有機体と機械のハイブリット生命体。個別の意志をもたず集合意識をもって行動する。また異種族を瞬時に同化する。
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ピ~ヒャ~ピ~ヒャ~、パッパパ~パ~パパパパ~パパ~♪
Tunnels, the final frontier. These are the voyages of the star ship ESOterprise...
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ピワワワ~ン♪
地上に転送された4人。転送先は土と岩に囲まれた暗闇だった。
「メータ、ここはどこだ?」
意外な場所に転送されて内心戸惑いながらも、冷静にふるまうヒカルド。
「ここは当時地球に存在したニホンという国家のボーソーというエリアに存在するズイドーの内部です」
「ズイド-?それは何だ?」
いぶかしげな顔でラタコーが訊ねる。
「ズイドーとは、、、地中に穴を掘削し、人や乗り物、さらには水や電気、ガスといった生活物資などを輸送する用に供用した人工物です。隧道、トンネル、tunnel、洞窟、ほら穴、、、このズイドーはデータベースと掘削技術から推測して19世紀末に竣工したものと思われます。なおこの時代のスイドー建設様式は、、、」
いつもながら、余計な説明が多いメータを遮るヒカルド。
「ありがとう、メータ少佐。大変興味深い話だが、要は今我々は古いトンネルの内部にいるということなのだな?」
「はいそうです」
「暗いな。そしてカビくさい。こんなところに長居すると戦士の魂が腐ってしまいそうだ」
戦うためにこの世に生を受けてきたクリソゴソ人のモーフは動きの制約される狭い空間が苦手だ。吐き捨てるように呟く。しかし、アンドロイドのメータにはこのモーフの気持ちが理解できない。
「魂が腐る?腐敗とは細菌などの微生物によって生物由来の有機物が分解されることを意味するが、有機物ではない魂は腐敗しないのではないかな?」
「少佐、腐るというのはあくまで比喩でして…」
いつのながらの少しトンチンカンなメータの質問に短気なモーフはいらつかされる。暗闇の中でも彼の顔が不快さで充血していることは明らかだった。
「まぁまぁ、レトリックについての講釈はエソタープライズに戻ってからゆっくりしてくれ。それより周囲の状況を調べてくれないか?」
水と油のような二人だが、この強烈な個性が数々の成果を上げる原動力にもなってきた。
「艦長、前方20メートルの地点に地球人4名を発見」
気は短いが優秀なモーフはすぐに機を切り替えて任務に取り組んだ。
「メータ、彼らについての情報は?」
「データベースにある特徴から類推して、彼らはこの時代に存在したdooboongoo、クイックミック、隧酷険、ましきという4人の地球人だと思われます」
「奇妙な名前だな」
ラタコーが呟く。
「いずれも、彼らが当時の情報伝達システムのインターネット上で用いていた仮の名前で、彼らの本名は不明です」
メータが答える。
「あぁ、オレも水着の女性達に声を掛けるときによくそういう名前を使うぞ。DONDONアタックして険で酷なのはクールだ。しかしクイック過ぎるとバカにされる。俺はスロー派だ」
任務中にもかかわらずニヤけるラタコー。
「だが、ここは女性が好んで来る場所とは思えない。彼らの目的は?」
いつものラタコーの下ネタを軽く受け流すヒカルド。
「彼らの目的は不明です」とメータ。
「武器やドラッグの取引でしょうか?」とモーフ。
「宗教、もしくは秘密結社の集会かもしれない」とラタコー。
「少ない情報から推測は危険だ。まずは彼らをよく観察することにしよう」
ヒカルドの言葉に従い、4人の21世紀人を観察するエソタープライズのメンバー。謎のズイドーの中でうごめく4人の21世紀人たちは何をしようとしているのだろうか。そして、彼らとノダーとの関係は?
(その3に続く)
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新スタートンネレック 第2話
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