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新スタートンネレック 第5話・最終回

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●登場人物
・ヒカルド艦長…USSエソタープライズ艦長、地球人。冷静かつ博学な指揮官
・ラタコー…USSエソタープライズ副長、地球人。少し女癖が悪いとの噂有
・メータ…USSエソタープライズ主任パイロット、アンドロイド。有能だが空気を読めないのが悩み
・モーフ…USSエソタープライズ保安主任、クリソゴソ人。勇敢な戦士
・ドーグ…地球侵略を試みる有機体と機械のハイブリット生命体。個別の意志をもたず集合意識をもって行動する。また異種族を瞬時に同化する。

     ※   ※   ※

突如、エソタープライズから通信が入った。

「メータ少佐が分析に用いたデータベースの収集時期に誤りがありました。正確なこの時代のデータを再転送します」

数分後、メータがヒカルドに報告する。

「艦長、新たなデータを分析したところ、我々の探すノダーはこことは関係のない事が判明しました」

「どういうことだ、メータ?」

「はい、当初のデータはこの時代を挟む比較的長期、かつマニアックなものに限定されていましたが、新しいデータは2011年から12年の狭い範囲のより一般的なものです。そしてそのデータによれば、この時代に権力の座についたノダーという人物がドーグとの関連性を疑わせる行動をとっていることが判明しました」

「ドーグとの関連を疑わせる行動とは?」

「はい。彼は民衆の期待を集め権力の座につきましたが、権力を手に入れた後、突如として言動が変化し、大衆の支持を急速に失いました。『まるで別人になってしまったかのようだ』と評する記録もあります」

「『別人に』か…」
メータの説明を聞いてヒカルドは呟いた。

「ドーグに同化されたのでしょうか?」
問いかけるラタコー。

「その可能性は大いにある。大至急、このノダーについて調べる必要があるな。しかし、例えマニアックなデータとはいえ、そのような重要人物に関する記録が欠落していたのはどうしてだ?」

ヒカルドは重ねて問いかけた。

「はい、このノダーは、権力の座を追われた後、民衆から急速に忘れ去られ、顧みられることがなくなったようです」

「盛者必衰だな」

思わず呟くヒカルド。それを聞いてメータが答えた。

「その言葉についても、私のポジトロニックブレインに詳しく保管されています。ヘイケモノガタリですね『ギオンショージャの鐘の声、諸行無常の響き有り。サラソージュの花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし。たけき者も…』」

「ありがとうメータ少佐。すばらしい古典作品だ。次々回の朗読会ではこれを取り上げるといいと思うぞ」

メータの朗読を遮り、ヒカルドはエソタープライズに指令を送った。

「ヒカルドからエソタープライズ。我々の探すノダーの存在が明らかになった。至急、メータが分析した座標に我々を転送してくれ」

ピワワワ~ン♪

発光とともに、4人は転送された。ズイドーに残された21世紀の4人は自分の身の回りでどのようなことが起こったのか永久に知ることはないだろう。ただ一人、クイック・ミックだけがかすかな異変に気づいた。

「一体どうなってるんだ?誰かに尾けられてるぞ」

しかし周囲を見回しても自分と仲間達以外には誰もいなかった。

「なんや、気のせいか…」

ポソリと呟くと、再び踊りの輪の中に戻っていった…

     ※     ※     ※   

道にあるちょっと古いもの-新スタートンネレック

その後、エソタープライズのクルーの活躍によって、ドーグによる地球侵略計画は未然に阻止された。しかし、そのことに紙幅を裂くのはいずれまたの機会に。

(完)



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