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坂畑の廃旧道

【名称】不明
【所在地】君津市坂畑



2015年2月1日訪問

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坂畑の廃旧道


JR久留里線の終着駅、上総亀山駅の駐車場。ここから張り切って出発する。相棒はおなじみのまきき氏。この日はいつになく特別に張り切っていたのだが、ぶっちゃけて言うと、その期待は見事に裏切られた。本日は壮大な徒労の記録である…

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久留里線の文字通り終端部分。えっとー、何ていうのだろう。

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さて、チャリで走ること数分で藤林隧道の西側に到着。

「ホテル亀山城」の看板が目に付く。ホテル亀山城さんには大変失礼だが、最初にこれを見たとき、こりゃラブホだな、と思ってしまった。でも、実際はれっきとした立派な観光旅館。右の旧道の先にある。

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せっかくなので、隧道経由ではなく旧道経由で東に向かうことに。

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ここがホテル亀山城さん。見晴らしがよさそうだ。

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少し進むと防空壕跡らしき穴を発見。穴があったら何でも入りたいまきき氏、当然のごとく張り切ってプチ探索。おいらは… まぁ、いいや(^-^;

     ※     ※     ※

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さて、しばらく進んで、現在地はココ(←クリック) 交差点の少し南側から北を向いている。

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(この地図は、時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」((C)谷 謙二)により作成したものです。)

さて、そろそろこの日の探索目的について説明しよう。

いつものように今昔マップから。左は昭和19年修正・昭和22年5月30日発行の地形図、右は現在の国土地理院の地形図。

赤丸内に隧道の記号が記されているのがわかるだろう。ここは君津市坂畑から怒田にかけて、素掘り隧道が12本連続する(そして他にも周囲に何本もあるしの)房総でも有数の素掘り隧道密集地帯。隧道マニアだけでなく、オフロードバイクのライダーさん達にとっても、おなじみの道。

その1本目の隧道がここなわけなのだが、ふたつの地形図を見ると明らかな違いがある。そう、標高点の右から左に隧道の位置が変化しているのだ!

これを見つけた時の興奮といったらもうwww これだけ明白な違いがあれば、「旧隧道」の存在間違いなし。廃隧道一本ゴチになります!と二人そろって(・∀・)(・∀・)ニヤニヤしながらやってきたのだった。

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さて、旧版地形図によれば、旧道は先の交差点より少し東側にあるはず。ということで、交差点を東に進んできた。現在地はココ(←クリック) 北を向いている。この先に「旧隧道」があるはずなのだが、いかにも私有地の雰囲気(この先に民家もある) 少し周囲をウロウロしたが、どこからアクセスしたらいいものやら見当も付かないので、結局南からのアプローチはとりあえず断念。

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とりあえず林道に戻る。北側からからアプローチすればいいや、とあっさり方針を切り替えた。

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植林地に入る。

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そして、12連発最初の隧道、かつ、本日のターゲットの「旧隧道」があると思われる、(仮称)横尾1隧道の南側坑口に到着。

いつもなら、「ちょっと待ってて、すぐ終わるから」と言いつつ、軽く20分は撮影しまくるまきき氏だが、この日ばかりはここもあっさりスルー(笑)

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そして、次に控える(仮称)横尾2隧道。さて、旧道とはこの辺りで合流するように思えるのだが、痕跡がない。仕方ないので隧道の手前から適当にアタリを付けて、とりあえず谷底に降りてみようということに。

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でも、全然旧道の痕跡がないんだよなぁ(^-^; 自信たっぷりでやってきたのだが、ここで始めて不安感を覚える(^-^;

この日はたまたま猟師さんが集まっていた。人見知り社交家のまきき氏がすかさず猟師のおっちゃんに声を掛けて取材するも、「廃トンネル~?知らないなぁ」とのつれない返事( ;´Д`)

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で、まぁ、ズザーッっと数十メートル谷底に降りてきたところ。

この写真、使うの2回目(笑) 前回は「思い出の廃車@千葉県君津市(←パクリタイトル注意)」として。

そう、結局巨大なゴミの不法投棄現場に紛れ込んでしまったのだ( ;´Д`) いや、ゴミ捨て場になっているからといって、隧道がないとは言い切れないのだが、もしこの沢状の地形の奥に隧道があったとしたら、、、それこそ数百メートルの長大隧道が埋まっているということになる。う~ん、ちょっと考えがたいよなぁ…

ということで、前回の記事にも書いた通り、這々の体で撤退。

     ※     ※     ※

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ふたりそろってプチ滑落し、ゴミの中を這いずり回り、結局、(仮称)横尾1隧道の南側まで戻ってきた。

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ここで、最後のアタック。現道の東にある山に突入だ。ぶっちゃけ、汚穢にまみれて、今更オケラで帰るわけにはいかない、という引くに引けない心理状況だったのかもしれない。インパール作戦かよ( ;´Д`)

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とまぁ、悲愴な覚悟で突っ込んでみたのだが、意外なことに掘り割りを発見。そのまま進むことに。

しかーし、この道の雰囲気… そのまま尾根越えする道の雰囲気なんだよなぁ…

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やっぱり尾根に出てしまった…

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君津市の杭。

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この先に我々の心を乱した地形図に載る標高点があった。

後で見返してみると殆ど写真を撮っていなかった。意識はしていなかったが、もうすっかり諦めモードだったのか(^-^;

一応文章で補足しておくと、この掘り割りだが、旧版地形図に描かれていた標高点東側にある道とほぼ同じルートに合流している。そして、尾根を越えて、(仮称)横尾1隧道の北側にでるようだった。「ようだった」というのは、尾根を越えた先に、途中に倒木と路盤が決壊しかかっていたので進むのを断念したから。もちろん隧道のありそうな雰囲気はゼロで無理する気になれなかったのだ。

いつもなら、「もうちょっと行ってみません?」というまきき氏もめずらしくお帰りモード。ゴミの山を徘徊した事でふたりとも無意識に心が折れていたようだ(^-^;

【結論というか推測】

さて、この旧版地形図に描かれた隧道記号だが、ほぼ間違いなく誤植だろう。元々、尾根越えの旧道(隧道なし)があり、後年、それが新道(隧道あり)に切り替わったが、手抜きされて、旧版の道の途中に隧道の記号だけ追加されたのではないかと。

以前、御宿町にある西琳寺第二隧道の旧道で同じような状況に遭遇したことがある(ただしそちらは二世代の隧道があったが)

さらに最近、いすみ市でもこのようなパターンじゃないかという道があった。地図を鵜呑みにしてはいけないのはこの業界の常識。腹を立てるよりも、むしろ謎解き感覚でこんなミスをもっと捜したくなってきた(笑)

でも、ぬくぬくと家でPCに向かっていると、ひょっとしたらひょっとして、見逃しがあったり… などと再び妄想したりするのであった(^-^;

     ※     ※     ※

帰り道に、まきき氏がボソッと一言。

「あ~、ここもD主任とMがやらかしちゃったんだなぁ…」

そうだ、おそらくここも「D主任と部下のMがやらかした件」略してDMYだ。まぁ、これは妄想に由来する内輪話なのだが(^-^;


<<重要>> ここからはフィクションで実在の人物・団体とは一切関係ない。

昭和1×年、二人の国●地●院職員が亀山村の村道を歩いていた。彼らは来る新版地形図の発刊に備えた調査をしていた。明治に刊行された地形図は既に現状と異なる箇所が散見されるようになっていたのだ。この違いを修正するための現地調査が彼らの仕事だった。

朝からまる一日、精力的に仕事をこなし、もう日没間近。二人は数年前に竣功したばかりの隧道を調査してこの日の仕事を切り上げるつもりだった。

地形図の通り、右カーブの先に真新しい隧道があった。尾根越えの旧道の下に新たな隧道が穿たれたのだろう。しかし、新人職員Mが異変に気づいた。

「D主任、確かに右に曲がると隧道がありますが、以前の図面と角度が違っていませんか?ひょっとして道がつけかえられたのではないでしょうか?」

それが事実なら周囲を測量し直す必用がある。にもかかわらず時間はもうあまり残っていない。だが、ベテランのDは臨機応変という言葉を知る男だった。

「Mちゃん、気にすることないよ。たしかに曲がった先に隧道はある。今の地形図に新たに隧道の記号を付け加えれば新しい地形図が完成するよ。おつかれさん、さぁ、戻ろう」

だが、完全主義者のMは納得しなかった。「いや、この道の角度を修正して完璧な地形図を作りましょうよ。わたくしめの開発した『まえわ五十二號』を使えば朝までには測量も完了します。『まえわ五十三號カンテラ』を使えば夜間の作業も可能です。そして国家へ貢献しましょう」

「大丈夫、我々はもう既に充分にお国に貢献しているよ。オーケーっ、問題なしっ」

「しゅ、しゅ、主任、しかし…」

Dは臨機応変であるだけではなく、当時としては珍しいリベラルな思想の持ち主だった。

「そんなことより、Mちゃん、私は家族との時間を大切にしたいんだ。明日は家族を連れて恒例の活動写真を見て食事に行く日なんだ。この日のために10年ぶりに外出着も仕立てたんだよ。私がここまでやってこれたのも、大事な家族があってのこと。その大事な家族との時間を君は奪おうというのかい?」

穏やかだが確固とした意志を秘めたDの口調にMは返す言葉もなかった。さらにDは言葉を続ける。

「社会集団の最小単位は家族だよ。家族を大切にしてこそ、より大きい集団であるお国に間接的に貢献できるとボクちんは思っているんだよ。まぁ、ボクちんはお国よりも家族の方が百万倍大事なんだけどね ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

自信に満ちたDの言葉を受けたMは、うつむきながらも何とか必死で反論の言葉を探した。しかしさらにとどめの言葉が。

「そんな事より、Mちゃん、外房の魚介は旨いよ。ボクちんはこれから貸し切りの船で家にもどるけど、Mちゃんのためにとっておきの宿を予約しておいたから、今夜は伊勢海老でも食いながら一杯やってよ。鮑も頼んでおいたし菊●も好きなだけ呑んでいいから。そうやってお国から頂いた給金を各地での消費に回し、地域経済を潤わせる。地方が栄えれば中央も栄える。繁栄によって生まれた金は税金として再び国家に流れて新たな投資に用いられる。こうやって経済を循環させることこそ今ボクちん達にできる、お国への貢献ってものだと思うな」

伊勢海老と鮑と菊●の誘惑を前に、Mの完全主義はあっさり白旗を掲げた。リベラリストでありながらも、繊細で面倒見のよいDの部下に対するフォローは完璧であった。

「そ、そ、そうですね、主任の仰る通りです。今夜は全力でお国のために貢献したいと思います」

「じゃあそろそろ戻ろうか」

「はぃぃぃ。戻ります。いや、戻らせてくださいっ」

そして、足取りも軽く二人は街に戻っていった。

数ヶ月後、新版の地形図は無事発刊され、Dの言った通り全く問題は生じなかった。

これが「D主任と部下のMがやからした件」略してDMYの一部始終である。

※念のため繰り返して言うと、この話はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。



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